店長日記ブログ

<ご連絡>明日5月5日(金)は臨時休業させていただきます。

蒲郡の酒屋「まん天や」の日記ブログにお越しいただきありがとうございます。
木村です。

明日、5月5日は「こどもの日」です!

まん天やの店頭に4月初め頃からずっとディスプレイされている五月人形です。
新学期がスタートした頃から、この五月人形は店内のウィンドウ越しに、
お店の前の道を歩く子ども達を優しく?見守ってくれてました。
子ども達もこの人形をチラチラと見返してくれてます。

まん天やは酒販店のため、未成年の方にはお酒やたばこは売りません。
店頭でもオンラインショップでも年齢確認をさせていただいております。
未成年の飲酒や喫煙に関しては厳しい目で見ますが、
それ以外の事は人の親として、蒲郡に育つ子ども達が健やかに成長する事を、
この五月人形のように優しい目で見守っていきたいと思います。

さて、明日5月5日ですが、以前ブログでお知らせさせていただいた通り、
まん天やは臨時休業をさせていただきます。
5月6日は通常通り朝10時より営業させていただきます。

恐れ入りますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

 

日本酒を脅かすもの⑨ ~「蒸し米」日本酒造り前半戦の山場~

蒲郡の酒屋「まん天や」の日記ブログにお越しいただきありがとうございます。
木村です。

ゴールデンウィークの連休真っ盛り。皆様いかがお過ごしでしょうか?
ここ蒲郡ではツツジが見頃を迎えております。

ツツジは蒲郡の「市の花」に選ばれており、
沿道にたくさん植えられている満開のツツジが、
赤・白・ピンクと鮮やかに蒲郡の春を彩ります。

竹島にある「蒲郡クラシックホテル」では5月5日(金)まで、
「つつじまつり」が開催されております。
お天気も良いみたいですので、ゴールデンウィークのお休みは、
三河湾をバックに咲き誇る約3,000本のツツジを眺めて過ごすのも良いですね。

さて、今回のブログは「日本酒を脅かすもの」第9回。
洗米されたお米が蒸される工程についてのお話です。

1:「蒸し」はムシ出来ない!日本酒造りの重要な工程

・・・と、のっけからスベってますが、
日本酒造りでの「蒸し」は、品質の良し悪しを決定する重要な仕事なのです。
日本酒では、米は「炊く」のではなく、「蒸す」事で効果を発揮します。

「蒸し」は、前工程の水切りまでを終えて適度に水を吸ったお米を、
蒸気で加熱する事でデンプン質をアルファ化(糊化。粘りが出る)させます。
これにより麹菌が繁殖しやすくなり、
麹菌の生産する糖化酵素の作用を受けやすくなります。
また蒸す事で、お米の殺菌をする効果もあります。

食用米のように「炊く」事でもでんぷん質のアルファ化はされるのですが、
その場合は日本酒造りでは必要以上の水分を吸い過ぎてしまい、
出来上がった蒸し米は外側が柔らかくなり過ぎて、腐敗の恐れが出てきます。
米の状態は、さばけが良く、外側が硬く内側が柔らかいものが理想で、
(外側が柔らかいと腐敗しやすく、内側が硬いと麴菌糸の成長を妨げる)
蒸し米にする事で、この理想の状態を実現します。

蒸し米の良し悪しが、次工程の麹造りの管理や、
もろみの中での米の溶解時間に大きな影響を与えるので、
ここでは細心の注意が払われます。

2:蒸しの方法

蒸しの方法は、一度にどれだけのお米を蒸すか、量によって変わります。

普通酒などに使うお米の場合では「自動連続蒸米機」という機械を使って、
一度に大量のお米を蒸していきます。
ベルトコンベアに乗ったお米が、蒸気層の中を通りながら蒸される横型式と、
円筒の上部から連続的にお米を入れ下部から蒸気を吹き込んで蒸す竪型式の、
2種類あります。

私も以前の蔵研修で横型式の自動蒸米機を見た事がありますが、
30畳近くの部屋がいっぱいになるくらいの大きな設備でした。

それに対して、大吟醸などの高級酒の場合は、甑(こしき)を使い、
蒸篭(せいろ)と同様の仕組みで少量ずつ蒸していきます。
「甑」は昔ながらの杉材で作られた深い桶で、底には「甑穴」があり、
下から熱せられた水が蒸気となって勢いよく噴き出す仕組みになってます。

この方法で蒸す時間はおよそ40分が平均的ですが、
中には60分も時間をかけて蒸す場合もあります。
途中で杜氏さんが、蒸し米をこねて「ひねり餅」と呼ばれる餅をつくり、
手触りで蒸し米の状態を確かめます。(これが相当熱いらしいです・・)

蒸し上がりの判断は、このひねり餅が硬すぎないか柔らかすぎないか、
弾力、手触り、香り、透明度を含めチェック(検蒸(けんじょう))し、
最適な状態になった時に杜氏さんが判断を下します。
お米の状態やその日の気候によって蒸しの状況に差が出てくるため、
今も昔と変わらず、人の手の感覚が必要な仕事となっております。

あと余談ですが、「ひねり餅」は昔は杜氏さんが焼いて食べてたらしいです。
もち米ではなく、うるち米なので、歯ごたえがあって美味しいようで、
もし機会があれば食べてみたいですね。

3:蒸し米は「麹米」と「掛米」に

こうして蒸し上がったお米は、麹(こうじ)造りに使われる「麹米」と、
醪(もろみ)造りに使われる「掛米(かけまい)」に分けられ、
それぞれが使用目的に応じた温度まで冷まされます(放冷と呼びます)。

蒸し米をむしろの上に広げて外気で自然冷却する昔ながらの方法や、
ベルトコンベアの上を移動しながらファンで冷やしていく方法もありますが、
その放冷の場所まで蒸し米を運搬するのが非常に重労働で、
放冷作業は蔵人総出で行う蔵元さんも少なくありません。

ここまでで、酒造り前半の山場「蒸し」の工程が終了します。
なお、お酒の仕込みのシーズンが終了する事を、
昔から「甑倒し(こしきだおし)」と呼ばれております。
「蒸し」のあとも「麹造り」をはじめ、お酒の仕込みは続いていきますが、
仕込みが終了すると米を蒸すの甑が不要になり横に倒して洗う事から、
蔵人さんからこのように呼ばれはじめたそうです。

この言葉を聞くと、あらためて「蒸し」がお酒の仕込みの工程の中でも
重要な部分だという事を、蔵人さんが実感していたんだと思い知らされます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回は酒造りの中盤戦のスタート、「麹造り」のお話です。

<ご連絡>蓬莱泉「YAWAKUCHI(やわくち)スパークリング」品切れ。次回入荷は5/9(火)です。

蒲郡の酒屋「まん天や」の日記ブログにお越しいただき
誠にありがとうございます。木村です。

以前、このブログでも紹介させていただきました
蓬莱泉のスパークリング清酒
「YAWAKUCHI(やわくち)スパークリング」が品切れしてしまいました。
(紹介ブログはコチラ)

蓬莱泉「YAWAKUCHI(やわくち)スパークリング 360ml」

日本酒を瓶内二次発酵させる
シャンパーニュと同様の発酵方法でつくられているため、
きめ細かい泡と日本酒が持つ本来の旨みがそのまま生きています。
「やわくち」という名前ですが、飲んでみるとキリッとドライな印象。
晩御飯前の乾杯にピッタリです。

次回の入荷が5/9(火)となっております。
恐れ入りますが入荷まで今しばらくお待ちくださいます様、
よろしくお願い申し上げます。

日本酒を脅かすもの⑧ ~「洗米」お水でお米は綺麗にみずみずしくなる~

毎度「まん天や」の日記ブログにお越しいただき、ありがとうございます。
木村です。

私が学生時代に一人暮らしをはじめた頃、
慣れないながらも自炊を思い立ち、炊飯器でお米を炊くのですが、
初めの頃は注意不足で水加減をよく間違えました。
米三合に対して四合分のお水をいれてしまったり…、
炊き上がった白飯は当然べちゃっとなってしまい、
せっかくのお米を台無しにしてしまう事も多々ありました。

その後は徐々に慣れてきてケアレスミスは減りましたが、
今度はお米の銘柄や状態によっても水加減が左右される事を知りました。
例えば、普通に炊いたつもりが何故か水っぽくなってしまい、
確認したら、そのお米は新米で、
通常よりも1割ほど水加減を減らす必要がある等…、奥が深い世界です。

最近では、炊飯器に入れたお米の銘柄や分量に合わせて、
自動的にベストな水加減を算出してくれる、便利な炊飯器があるそうです。
*アイリスオーヤマ 米と水の最適な量を計測できる炊飯器 価格.comの記事
メーカーのアイリスオーヤマさんによると、
炊飯の際、基準となる水の量に約4.5%を越える過不足がある場合、
ご飯のおいしさが損なわれてしまうらしいです。

しかしお釜の内側にある水位線だけをたよりに給水すると、
水加減をこの誤差以内に抑える事が非常に難しい事が調査で判明、
そこで銘柄や分量によって最適な水の量を算出する機能を開発し、
炊飯器に搭載したそうですが、これが大ヒット!
同社の家電事業の年間売上を参入当初から4倍以上に押し上げたそうです。

水加減に悩む人が、私の他にも大勢いた!…というよりも、
多くの人が水加減がご飯の食味を左右する重要な要素だと
認識しているという事だと思います。

お酒造りにとっての水加減も、出来栄えを左右する重要な要素です。
本日は「日本酒を脅かすもの」第8回目。
精米されたお米が洗米される工程のお話です。

1:まずは「枯らし」。米を安定させる大事な工程

精米されたばかりのお米は、摩擦によってかなりの熱を帯びています。
また摩擦熱によってお米の中の水分も蒸発してしまい、
お米の中の水分分布が不安定になっているの状態です。

実はこの状態のままお米を水につけて洗米すると、
水分を吸い過ぎてしまい、急激な温度変化でお米が割れてしまったり、
吸水にムラが出るなど、せっかくのお米が台無しになってしまいます。
よって洗米をする前に、お米の品温を下げる事と、
お米の内部の水分を均一化する事を目的に、
2週間から3週間の間、精米したお米を麻袋やタンクに入れて、
冷暗所で保管しながら落ち着かせます。これを「枯らし」と言います。

少々乱暴なのを承知で「洗米」を「洗顔」に例えてみましょう。
外でこんがり日焼けしたばかりの顔を洗顔料でこすりながら洗うと、
炎症を起こした皮膚に更に刺激を与えてしまい肌トラブルを招きます。
日焼けした後にまずやるべき事は、すぐに濡れタオル等で冷やすこと。
その後軟膏などで消炎・保湿をすることが効果的です。

精米したばかりのお米も、まさに同じ事が言えると思います。
洗米する前に「枯らし」でお米を落ち着かせる事は、
その後の工程でお米の品質を損なわないための大切なクールダウンです。

2:洗米・浸漬・水切りで最高のコンディションに

「枯らし」の後は「洗米」です。
水を使い白米の表面に残っている糠や米くずを洗い流します。
機械による洗米もありますが、
洗米時に米は1%程度摩耗すると共に、水分も吸収するため、
吸水率が品質に大きく影響するといわれる吟醸酒造りの際は、
たらいに冷たい水を入れてお米を傷つけない様、
細心の注意が払われながら手作業で洗います。

今度は「洗米」を「洗車」に例えますが、
愛車を洗車機に入れるより手洗いした方が、傷つける危険は減りますもんね。

その後、間髪を入れずに「浸漬」の工程に入ります。
洗米を終えた白米を直ちに浸漬タンクに移し、
必要な水分をお米に浸透、吸収させます。
麹菌の繁殖に最適なコンディションの蒸米が出来るようにするためです。

杜氏さんによってはこの浸漬でお酒の品質が決まるともいわれている
非常に重要な工程です。特に大吟醸用の米を浸漬する場合は、
給水を遅くするため通常(10~15℃)よりも冷たい水を使い、
ストップウォッチを片手に秒単位で時間を計測しながら行います。
所定の時間が来たらお米の入ったざるを持ち上げるのですが、
水を含んだお米は重くなっており、力も必要です。

また、その日の天候、気温、湿度も吸水の時間に影響するため、
熟練の杜氏さんが吸水率を入念に確認しながら行います。
水分量が多過ぎたら良い蒸米も出来ず、後工程に悪影響が出てしまうし、
逆に水分量が少な過ぎたら蒸米に米の芯が残ってしまい、
この状態でも麹が繁殖しにくくなってしまいます。
失敗したらやり直しのきかない、非常に神経を使う仕事です。

「洗顔」の後も肌の水分がどんどん蒸発してしまうので、
保湿も3分以内に行う鉄則があるそうです。
お肌の保湿も米の浸漬も、時間が勝負なのが分かりますね。

そして「水切り」によって、酒米のコンディショニングは完了です。
水切りは浸漬したお米の水気を切る作業ですが、
浸漬した時間、洗米した時刻、次工程の「蒸し」に要する時間、
お米の種類や酒質によって切る水の量や作業時間が変わってきます。

方法としては、布袋に入れて振って水を切る、平ザルで放置という手作業から、
吸引機や遠心分離機等の機械を使うやり方まであり、酒蔵によって様々です。

ラーメン屋の「湯切り」も茹でた麺の余分な水分を切るための工程ですが、
お店によって「天空落とし」や「ジャンピング湯切り」等の技があります。
これは余分な茹で汁の成分でスープの味を損なわないようにするために
各店で工夫された湯切りの方法で、こういった面からも酒蔵の水切り同様、
水加減に対するシビアな考え方がラーメン屋でもうかがえます。

編集後記:教科書に載ってない「最適な」水加減

前述したアイリスオーヤマさんの炊飯器が完成に至るまで、
分量だけでなく、お米の銘柄に至るまでの最適な水加減を算出するために、
色々なお米の品種に対して数えきれない程の実験、試食を重ねたそうです。

日本酒造りにおけるお米の水加減も同様に、
米の品種だけでなく、お米の精米歩合や目指す酒質、蔵元の個性や気候など、
食用米以上に考慮すべきポイントがあり、
それぞれの蔵元が試行錯誤を繰り返してやっと最適な水加減を見出します。

もちろん教科書通りにはいかない部分で難しい工程ですが、それ以前に
「こんなお酒を造る」という明確な目標や具体的イメージがないと、
最適な水加減に行きつくための「道しるべ」も浮かんでこないと思いました。
目的・ゴールが出来て、はじめて突き詰める事が出来る工程と感じました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は洗米されたお米を「蒸す」工程についてのお話です。

 

<ご連絡>シャンパーニュ「テタンジェ ブリュット レゼルブ」再入荷しました。

蒲郡の酒屋まん天やのブログにお越し頂きありがとうございます。
木村です。

1週間前、当ブログにて品切れのご連絡をさせていただきました
フランスシャンパーニュ「テタンジェ ブリュット レゼルブ」ですが、
再度入荷してまいりました!

シャンパーニュ「テタンジェ ブリュット レゼルブ 化粧箱入り」
価格:5,500円(税抜)

ノーベル賞の晩餐会にもこのテタンジェ・ブランドが3年連続提供される等、
特別なお祝い事にはピッタリのシャンパーニュです。
優れた芳香が広がり、エレガントかつフレッシュなバランスの良い味わいに
仕上がっています。

ゴールデンウィークの連休中には、ご家族や遊びに来たご友人方と、
こちらのテタンジェで乾杯するのはいかがでしょうか?