蒲郡の酒屋「まん天や」の日記ブログにお越しいただきありがとうございます。
木村です。
まん天やのある蒲郡市は、南は海、北は山に囲まれ、自然の恵みに育まれた街ですが、
ここで生まれ育った者として思うのが、南にある海の恩恵がとりわけ大きいという事です。
鉄道唱歌の30番で「東海道にて優れたる 海の眺めは蒲郡」と歌われるほど、美しい眺めの三河湾や、
その近海で獲れるアサリ、エビ、メヒカリをはじめとする様々な海の幸は昔から愛され続け、
毎年多くの観光客の方が蒲郡を訪れます。
更にこの三河湾は、ヨット等のマリンスポーツのメッカでもあり、
昔は国際ヨットレース「アメリカズカップ」にチャレンジした日本チームの本拠地も置かれてました。
そして今年2017年の10月には、ヨットレース(セーリング)のワールドカップが日本で初開催される事になり、
その記念すべき第1回目の会場が、蒲郡三河湾の海洋ヨットハーバーに決定しました🎊。
(→日本セーリング連盟の記事です←)
このワールドカップは、約30か国の代表チームが参加するため、海外からも大勢の人が応援に訪れます。
今年は「海のまち蒲郡」を世界にアピールして、この街は大いに盛り上がりそうですね!
…という訳で今回のブログは「日本酒を脅かすもの」第11回。
蒲郡の母なる海が三河湾ならば、日本酒の母なる海は「酒母(もと)」。
その酒母造りの工程についてのお話です。
第二の微生物「酵母」の登場
当たり前の事ですが、日本酒はアルコール飲料です。
アルコールは、アルコール発酵によって生まれます。
そのアルコール発酵を起こすものが「酵母」という微生物。
前工程で出てきた「麹菌」に次いで、第二の微生物の登場です。
そして今回の「酒母(もと)造り」の目的は、この「酵母」を大量に培養する事です。
言い換えれば「大量に培養された酵母」=「酒母(もと)」となります。
酵母の起こすアルコール発酵は、簡単に言うと、
「糖分を食べてアルコールと炭酸ガスを出す」事です。
お酒造りの場合、前回の工程で造られた「麹」の働きによって
原料のお米のデンプン質がブドウ糖に変化しますが、このブドウ糖を養分にして発酵します。
「並行複発酵」と言って、麹の働きでデンプンがブドウ糖に変化する「糖化」と、
ブドウ糖が酵母の働きによってアルコールと炭酸ガスに変化する「発酵」が、
日本酒造りにおいては一つのタンク内で同時に行われる訳ですが、
これに関しては次回以降の「発酵」のところでまた詳しくお話しさせていただきます。
ちなみにお酒造り以外の食品にも、酵母はよく使われており、
有名なものがパン作りに使われる「イースト菌」と呼ばれているものも酵母です。
イースト菌がアルコール発酵で発生させた炭酸ガスで、
パン生地をふっくらと膨らませる事に使用されています。
雑菌から酵母を守れ!第三の微生物「乳酸菌」の登場
「酵母」を培養するためには、今までの日本酒造りの工程で造られた蒸米、麹、
そして水を、高さ1mくらいの小さなタンクに投入し、「水麹(みずこうじ)」をつくる事からスタートします。
この水麹が酵母の栄養源となる「生命の海」となります。
しかし日本酒用の酵母は、他の微生物と一緒になると淘汰されてしまう、非常に弱いという特徴を持っています。
日本酒造りの際、発酵タンクを密閉しない状態で製造を行うため、
このままだと様々な雑菌が入り込み、品質に悪影響を与えてしまう危険があります。
その一方で、酵母は酸性に強い(他の微生物は酸性に弱い)という特徴も持っているため、
タンク内を酸性にしてやれば、雑菌は無くなり、酵母の増殖にだけ理想的な環境となります。
ではタンク内を酸性にするにはどうするか?ここで第三の微生物「乳酸菌」の登場です。
乳酸菌をタンク内に必要分投入してやる事で、タンク内が酸性となり、
この状態になってはじめて、培養される「酵母」が投入されます。
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…今回のブログはここまでです。(文章量少なっ!でごめんなさい<(_ _)>)
酵母を培養するタンクにどんな方法で「乳酸菌」を投入するか、
この部分は時間をかけてまとめますので、次回の日本酒を脅かすもの第12回にて
続きのお話をさせていただきます。